の語りこ2
昨日10年ぶりにおかっぱにしました。
ちょうど十年前のいまごろ、家族のもとを離れて一人暮らしを始めました。
岩手から青森へ。あの年は雪が多く、まちなかには雪が残っていました。
まずは靴とバックを買おうと、弘前のイトーヨーカ堂に行きました。
一歩一歩すごく緊張して歩きました。
次の日、買ったばかり靴を履き、バックを携え自転車に乗って、弘前図書館へ行きました。
カードを作り、借りたのは村上春樹さんの「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」と、ホセ・カルロス・ソモザ「イデアの洞窟」。
それから三冊ほど借りた覚えがありますが、さすがに題名などは忘れてしまいました。
おかっぱの自分と久しぶりに再会し、そんなことが思い出されました。
絵描きになりたかった頃の自分の話です。
宮崎駿監督の「魔女の宅急便」。一人立ちした主人公キキと自分を重ね合わせて、涙したのもその頃。
それまで魔女の宅急便で泣いた事はありませんでした。
それを、なぜか昨日急に思い立ち、観直したのです。
・・・・・
魔法が使えなくなったキキと、森で出会った絵描きウルスラとの会話。
ウルスラ「—それがね、ある日全然描けなくなっちゃった。かいてもかいても気に入らないの。
それまでの絵が誰かのまねだってわかったんだよ。
どこかでみたことがあるってね。……自分の絵をかかなきゃって。」
キキ「苦しかった?」
ウルスラ「それはいまも同じ!」
・・・・・
小さい頃から何度も見てきた魔女の宅急便ですが、大人になった現在でも心にささる言葉がありました。
誰のものでもない、自分の、自分にしか出来ない唯一の絵を描く。
絵を描くには、作品を作り続けるには、ずっと追い求めなくてはいけない。
そう言うウルスラの気持ちが、いまやっと私の心に届きました。
・・・
(劇中挿入歌、”めぐる季節”に、じつは歌詞があります。
ー幸せを探す人が一番幸せだって。ー
このフレーズは、キキの心もそうですが、ウルスラの気持ちも表現しているのかもしれない。)
・・・
そんな映画に、再会出来たこと。
偶然ではなく、巡ってくるタイミングのようなものかもしれません。
髪を切って、昔の自分と再び会い、何度も見ているはずの映画・聞いているはずの台詞に心を打たれる。
きっと何かの力が働き、私の目を覚まさせてくれたのかもしれない。そう感じました。
……もう、そうとしか見えないよ……。